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メディカルツーズム誘致の可能性を探る







魅力的で安価な日本の医療



わが国は国民皆保険制度によって、全ての国民が高度な医療を安価で受診することができます。

公的医療保険を差し引いた医療費で計算をしても、日本は安価で世界最高水準の治療を施しているといえるでしょう。

 

10年以上前に発行されたブックレット『海外医療事情ハンドブック』(AIG損害保険)には、盲腸の手術で入院をしたときの医療費を世界各国と比較していました(表1)。

 

 

(表1)世界の主要都市別 盲腸の治療費・入院費一覧

【都 市】         【費用総額(円)】      【平均入院日数】 
ホノルル           2,321,000円           3-5日間
ニューヨーク         1,945,000円             2日間
ジュネーブ          1,868,000円           3-5日間
上海             1,364,000円           1-2週間
ウィーン           1,093,000円            7.5日間
パリ              926,000円             4日間
香港              906,000円             4日間
フランクフルト         875,000円            7.5日間
サンフランシスコ        862,000円              1日
ローマ             857,000円             2日間
アムステルダム         855,000円            約1週間
ブリュッセル          807,000円             5日間
ソウル             649,000円             4日間
シドニー            626,000円             2日間
シンガポール          590,000円           3-4日間
マドリッド           552,000円             4日間
バリ              543,000円           3-4日間
クライストチャーチ       539,000円             2日間
ロンドン            535,000円           1-2週間
グアム             526,000円             2日間
サンパウロ           327,000円             3日間
バンコク            268,000円             4日間
台北              241,000円           5-7日間
クアラルンプール        221,000円           2-3日間
マニラ             198,000円             3日間
バンクーバー          181,000円             3日間
北京              136,000円           3-5日間
西安              136,000円           3-5日間
サイパン            111,000円             2日間
ホーチミン            49,000円             5日間

1USドル=110.5円換算(千円単位四捨五入)
出典:『海外医療事情ハンドブック』(AIG損害保険)2005年.

 

 

近年は、訪日外国人旅行が盛んです。昨年の訪日観光客の推計では、過去最高を超える28,690,900人です。
特に、アジアからの訪日観光客が85%を占めています(表2)。



表2 )訪日観光客数

2017年の総数 28,690,900(人)

    ・韓国 7,140,200(人)

    ・中国 7,355,800

    ・台湾 4,564,100


2016年の総数 24,039,700 人 うち、アジア観光客20,428,866人(2016年)
 アジア観光客は、全体の85%

出典:日本政府観光局 「訪日外客数の動向」統計データ(訪日外国人・出国日本人)

 




これからも裕福になった中国人観光客が増加する見通しです。

同様に、中国からの医療観光客の増加も考えられます。その背景には、中国の所得や富裕層の増加があり、相対的に国内の医療分野の遅れから、より良い医療環境での健診と治療を求めいることが挙げられます。

さらに、高度な技術を有する病院(三級甲等、三級乙、三級丙)には、患者の列がかなりの数におよんでいます。

日本では検査から治療、薬剤までまとめて受付で一回の支払いで済みますが、中国の病院はまず受付で問診料を支払います。次に医師の診察の結果、検査が必要とされた場合には、会計で検査料金を支払います。このようにその都度にお金を支払うシステムであるため、何度も行列に並びます。常に病院の受付は黒山の人だかりで、くたびれ果ててしまいます。


このように高度な先端技術以外の面においても、中国から見た日本の医療は魅力的なのです。

 

 

出遅れた日本のメディカルツーリズム

 

 

近年、日本政府の後押しもあり、海外からメディカルツーリズムで訪日する外国人は増加しています。日本政策投資銀行の2010年に発表した調査結果では、メディカルツーリズムの潜在需要は年間43万人(2020年時点)を想定。医療に観光を含めた市場規模としておよそ5,500億円としています。

 

 

2010年には外務省は、「医療滞在ビザ」を創設しました。医療滞在ビザは、ある程度の経済力を有する人が対象になり、人間ドッグ、健康診断、治療などを受けるための滞在を認めています。この治療の中には、歯科疾患も含まれ家族同伴で最大6ヶ月まで認めていています。

 

 

世界各国を見渡すと、メディカルツーリズムに積極的な地域は、ASEAN、韓国、インドなどがあります。

シンガポールでは、空港から速やかに移動できる場所に高度な先端医療設備を備えた病院を誘致して、ヘルニアから心臓バイパス手術まで先端医療を施しています。ちなみに、米国の治療費のおよそ半額にも満たない治療費であり、これが人気の秘訣という話です。

 

これらの国と比較して、日本のメディカルツーリズムは遅れをとっていることは否めません。


メディカルツーリズムに潜むプロフィットとリスク

各国で行なっているメディカルツーリズムですが、どのような診療項目を施しているのでしょうか。
その内容をまとめますと下記のようになります(表3)。

 

表3)メディカルツーリズムの主な診療内容

 

  • ・健康診断(Health screening)
  • ・外科手術
  • ・美容整形
  • ・歯科治療
  • ・ガン治療
  • ・不妊治療
  • ・腰や関節の手術
  • ・その他


いずれの項目も、日本は実力を発揮することができる分野です。決して、他国に劣るものではないでしょう。


日本の病院経営は赤字施設も少なくありません。名門の大病院も厳しい経営状況になっているのです

国外の富裕層を集患して経営改善に取り組むことも必要ではないでしょうか。


病院の経営状況が改善することによって、優秀なドクターやコメディカルの採用につながり、設備投資にもつながります。

 

リスクもあります、リスクというよりも課題になるでしょう。外国語や異文化対応を除きますと、医療過誤を主張された場合の損害賠償請求、診療報酬の未払いといった法的なリスクが内在します。

 


 

歯科医療のツーリズムで外国人誘致はできるか

 

昨年12月、中国で歯科医師の技術向上や教育事業などに取り組む上海益涯网络科技有限公司(本社:上海市)の朱総経理(社長)に、面会する機会がありました。朱総経理は、日本の歯科医療に対してこのように述べていました。

 

“日本はとても繊細な歯科治療を施しています。その理念と技術は中国人に適した治療であると確信しています”

 

中国の歯科医療は、新しい技術の導入に積極的ですが、ややオーバートリートメントであると述べていました。同社は、日本的な治療が患者にとって適した歯科治療であるとして、日本の歯科医師を招聘して上海を中心に歯科治療技術の普及活動をしています。

 

 

日本の歯科治療は細心の配慮で治療を施していて、さらに元来の生真面目さもあいまって信頼を獲得しているようです。

 

中国の歯科医療ツーリズムを日本に誘致できる可能性があるのではないでしょうか。

 

ただし、受け皿となる歯科医院がどれほどあるのか(表4)。都市部では、大きい規模の診療室を持つクリニックはかなり限定され、受け入れの体制と治療技術を持ち合わせたクリニックがあれば、歯科医療ツーリズムを受け入れができるではないでしょうか。

 

 

表4)外国人観光客を歯科医療で誘致にあたっての課題

 

  • ・高い技術を有する歯科医師は診療所に多い
  • ・診療所は規模が小さいためツアーには不向き
  • ・ツアー専用の予約枠を抑える必要がある
  • ・歯科医療通訳または歯科医師、歯科衛生士の外国語対応

 

 

日本国内は、歯肉炎を含む歯周疾患に罹患者が増えているとはいえ、う蝕は減少して、人口は減少して競合の歯科医院は増えています。こういう時代こそ、歯科医院もメディカルツーリズムに取り組んで、日本の歯科医療を世界に発信してもいいのではないでしょうか。



本稿にご関心のある方は、下記までお気軽にご相談ください。長江デルタ地域の提携企業から、歯科医療観光客を募集することができます。




「メディカルツーリズムの件」と記載の上、メールをお待ちしています。

橋本(hashimoto(@)gradle.co.jp)

 

 

 

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